202002,Harada

研究発表を行った学会；みらい研究「LINE-1 解析を起点とした癌と精神疾患の病態解明」公開シンポジウム
2020年 1月16日（熊本市）
タイトル； 胃癌腹膜転移における腹水細胞の網羅的ゲノム解析.
発表者；原田　和人氏
（熊本大学　大学院生命科学研究部　消化器外科学教室）
要旨；
胃癌において腹膜転移は最も多い転移形式であり、その予後は不良である。近年、胃癌原発巣のゲノムが網羅的に解析され、その結果が報告されている。しかしながら、腹膜転移細胞のゲノムを解析された報告はない。MD Anderson Cancer Center (Houston, TX, USA)で採取された胃癌腹膜転移に対して穿刺ドレナージされた腹水より腹水細胞のゲノムをExome sequencingおよびRNA sequencingにより網羅的に解析した。腹水中の癌細胞は上皮系の性質を有する細胞、間葉系の性質を有する細胞に分けられ、間質系の有する細胞はT細胞、マクロファージ、繊維芽細胞等と腫瘍微小環境を形成していることを明らかにした。更に、腹水癌細胞はTIM-3による免疫逃避を獲得している可能性が示唆された。胃癌腹膜転移症例に対する腹水細胞の分子生物学的特徴および腫瘍微小環境に応じた個別化治療の開発が期待される。