研究発表を行った学会;第66回 日本実験動物学会総会
2019年 5月15日〜17日(福岡市)
タイトル; 熊本大学CARDマウスバンクに関連するデータベースアプリの作製と更新.
発表者;土山 修治氏
(熊本大学 生命資源研究・支援センター 資源開発分野)
要旨;
【目的】熊本大学CARDマウスバンクは、大量の遺伝子改変マウスの胚・精子を凍結保存している。保存されている胚や精子の管理は、ファイルサーバ及びデータベースサーバを活用し、データ管理システムの改修および最適化を逐次行っている(2015年本総会発表)。一方で、マウス系統の情報をweb上で外部に公開しているCARD R-BASE、マウスバンク依頼時に依頼者がマウス情報を入力するCARD ENTRYについては、システムを構築して以来、大幅な改修は行われていなかった。また、近年、当センターにおける学内外での共同研究が増加し、研究を円滑に進めるための研究支援ツールも求められている。そこで本発表では、CARD R-BASE及びCARD ENTRYの改修、研究支援ツールとして遺伝子改変マウスの情報を共有するためのデータベース、老化モデルマウスの生存曲線描画のためのデータベースに関する開発を行った。【方法】
開発言語はJavaを採用し開発環境としてSpring Tool Suiteを利用した。また、データベースアプリとしてPostgreSQLを使用した。なお、以前の開発環境としてStrutsが利用されているCARD R-BASE及びCARD ENTRYは、コード解析による機能把握が困難なため、Oracle及びPostgreSQLのdmpファイルのみを開発環境下のPostgreSQLにインポートし、既存システムの動作を確認しながら新システムの機能実装を行った。一方、マウス情報共有システム及び生存曲線描画システムは、利用者の要求を取り入れ、単純なデータの一覧及び生存曲線描画機能に絞ってシンプルなシステム構築を行った。
【結果および考察】CARD R-BASEについては、Spring Tool Suiteによるり、改修がほぼ完了した。また、マウス情報共有システム及び生存曲線描画システムは、すでに完成し、学内向けにwebサイトを公開している。一方、CARD ENTRYについては、dmpファイルのみでは実装されている機能を解析することが困難であったため、既存システムを構築していただいた国立遺伝学研究所 系統情報研究室にご協力いただき、機能解析を進め新システムへの移行作業を継続している。以上、新しい開発環境を用いることにより、より単純な学内でのマウス共有や大型プロジェクトに特化したシステムを構築することが可能となった。