『モノクローナル抗体の迅速作製と創薬への応用』
富山大学 学術研究部医学系 免疫学 准教授
富山大学 先端抗体医薬開発センター 副センター長
小澤 龍彦 先生
B細胞が産生する抗体は、生体の防御機構を担う免疫システムの重要なタンパク質であり、特異的なタンパク質と高い親和性で結合する性質を持ち、ウイルスや細菌などの病原性微生物を排除する働きを持つ。このような性質や働きを利用して、様々な研究用、体外診断薬用、そして治療用のモノクローナル抗体が開発され、創薬への応用が進んでいる。最近では技術革新も進み、従来のハイブリドーマ法と比べて、効率的にモノクローナル抗体の作製ができるようになったとは言え、手軽に作製するほどには至っていない。
我々は、手軽にモノクローナル抗体を作製するために、B細胞が丁度1個入る大きさのウエルが6万個以上並んだ「細胞チップ」を工学系のグループと共同で開発した。この細胞チップを用いて、抗原特異的な抗体を産生するB細胞を迅速かつ網羅的に検出して回収し、回収したB細胞より抗体遺伝子を得て1週間程度でリコンビナント抗体を作製できるISAAC法を開発した。
我々はこれまでにISAAC法を用いて、自己免疫疾患患者に誘導された自己抗体や新型コロナウイルス変異株に対して中和活性を持つスーパー中和抗体など、計40種類以上の抗原に対して、累計400種以上の抗体を作製してきた。本講演では、その成果の幾つかを紹介する。
***富山大学プレスリリース(2022/5/12)***
***富山大学プレスリリース(2022/5/18)***