『「疾患を見る」ことと、そこから始まる基礎研究』
筑波大学・医学医療系 講師
三輪 佳宏
疾患の発症を検出するために、動物を殺して摘出した臓器で解析しなくてはならない場合には、たくさんの動物を犠牲にする割には解析が進まない状況になりやすい。もしも、生きたまま非侵襲に発症を検出し、さらに病態の進行をモニタリング可能になれば、少ない動物で圧倒的に精度の高いデータ取得が可能となり、発症機構の解明や創薬研究がはるかに進めやすくなると期待される。
そこで、我々はこれまで、哺乳動物の体内深部に浸透しやすい近赤外蛍光イメージング技術を応用することで、炎症、動脈硬化、線維症などの非侵襲解析系の構築を進めてきている。また、イメージングを実施するために必要な様々な基盤技術の整備も合わせて進めてきた。
本講演では、近赤外非侵襲イメージングの基礎と応用を解説するとともに、技術開発を進めているつもりが非常に本質的な基礎研究に行き当たった事例についても紹介し、生命科学はこれからin vivoとin vitroの間をどうつないでいくべきなのか? という課題について考えてみたい。