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要 匡

『希少・未診断疾患イニシアチブ(IRUD)における網羅的ゲノム解析と今後』

国立成育医療研究センター ゲノム医療研究部 部長
要 匡
希少疾患は、全体で見ると人口に占める割合は決して少なく無く(世界全体で約3億5000万人以上)、その多くが遺伝子関連疾患(小児希少疾患の約80%)である。ところが、その遺伝子関連疾患の種類は、OMIMの登録からも9,000以上と非常に多く、診断(原因確定)に至っていない例が多数存在している。しかし、遺伝子関連疾患においては、ゲノム解析は有用であり、これら診断困難な疾患に対する全国的ゲノム解析基盤を構築する基幹プロジェクトとして、2015年よりIRUDが開始された。現在までに、全体で約5,000症例(うち成育では約2,000症例)について集積(検体数:全体>15,000;成育>6,000)され、これら未診断症例に対して、短鎖型次世代シーケンサ(短鎖型NGS)による全エクソームシーケンスを中心とした網羅的ゲノム解析が行われた。結果、約40%でその原因が確定し、新規原因遺伝子なども見出された。一方、現在、いくつかの課題が明らかとなっており、それら解決を目指してさまざまな取り組みが始まっている。現時点では、約60%が未解決であり、技術的には、全ゲノム解析、長鎖型NGS解析などが行われつつある。また、未解決の中には、原因と思われるバリアントが見つかるものの確定に至らない症例があること、そして、原因が確定しても、多くの疾患は、病態が未だ不明であることなどから、遺伝子、遺伝子バリアントの機能解析が当然のことながら重要となっており、細胞での解析やモデル生物を用いた解析プロジェクトが進みつつある。

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