Gene Technology Center

201912,Tanaka

研究発表を行った学会;オリジナルデータ
タイトル; dsRNAのエンドサイトーシスを介したRNAi誘導機構の解明.
発表者;田中 翼氏
(熊本大学 発生医学研究所 生殖発生分野)
要旨;
RNA干渉(RNAi)は二本鎖RNA(dsRNA)によって配列特異的に遺伝子発現が抑制される現象である。RNAiは、ウイルスに対する生体防御機構として機能していると考えられ、抗ウイルス治療や核酸医薬(RNAi医薬)開発への応用も期待されている。dsRNAのエンドサイトーシスを介したRNAiの誘導経路において、エンドサイトーシスされたdsRNAは、小胞輸送を経て細胞質に移行し、標的mRNAの発現を抑制する。これまでに細胞質でのRNAi誘導制御のメカニズムについては詳細な解析が進められているが、dsRNAがエンドサイトーシスされてから細胞質に至るまでの過程、特にdsRNAの細胞質移行の制御機構についての知見は極めて乏しい。
私たちは、リソソームに局在するH+/Cl-交換輸送体Clc-b/Ostm1がdsRNAのエンドサイトーシスを介したRNAi誘導に必要であることを見い出した。Clc-b/ostm1を欠失したショウジョウバエ変異体、および培養細胞(S2細胞)では、dsRNAのエンドサイトーシスを介したRNAiの誘導効率の顕著な低下が認められた。一方、Clc-b/ostm1変異体において、核内でのdsRNAの発現によるRNAi誘導経路、すなわちエンドサイトーシスを介さないRNAi誘導経路は、正常に機能していた。また、Clc-b/Ostm1の機能欠損は、dsRNAの取り込みやリソソームへの小胞輸送には影響を示さなかった。以上の結果から、H+/Cl-交換輸送体 Clc-b/Ostm1は、『dsRNAの小胞から細胞質への移行』に関与すると予想された。

アクティブボード

PAGETOP
Copyright © GTC All Rights Reserved.
Powered by WordPress & BizVektor Theme by Vektor,Inc. technology.