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202311Shimizu

研究発表を行った学会;日本遺伝学会第95回大会
2023年9月6日〜8日(熊本市)
タイトル; ヒト急性単球性白血病細胞株THP-1において、HIV-1感染に必須なVif の標的因子.
発表者;清水 凌氏
(熊本大学 ヒトレトロウイルス学共同研究センター 分子ウイルス・遺伝学分野)
要旨;
HIV-1 がCD4 陽性T 細胞やマクロファージに感染し増殖するには、それらの細胞で発現している宿主防御因子を克服しなければならない。7 つで構成されるシトシン脱アミノ化酵素APOBEC3(A3)ファミリータンパク質は、HIV-1 に対する宿主防御因子の一つであるが、HIV-1 はVif を使って、A3 ファミリータンパク質の抗ウイルス活性を相殺する。一方でVif は、PPP2R5 ファミリータンパク質なども標的とするが、HIV-1 感染に必要な標的がA3 ファミリータンパク質以外に存在するかどうかは明らかになっていない。そこで本研究では、骨髄性白血病細胞株THP-1 において、種々のA3 遺伝子を欠損させ、Vif 変異体の感染性を検証した。まず、THP-1で発現しているA3Hタンパク質の遺伝子配列を解析し、Vif 変異体を用いて感染実験を行なったところ、THP-1で発現しているA3H タンパク質はHIV-1 抑制に関与していないことが示された。次に、CRISPR-Cas9 を用いてA3AからA3G 遺伝子までを欠損させたTHP-1 を作製し、Vif 欠損HIV-1 を用いて感染実験を行った。その結果、Vif 欠損HIV-1 の感染性は野生株と同様に回復した。したがってこれらの結果は、THP-1において、HIV-1感染に必須なVif の標的因子はA3 ファミリータンパク質のみであることを示す。

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