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研究発表を行った学会;第45回日本分子生物学会年会
2022年11月30日〜12月2日 (幕張メッセ)
タイトル; マウス胎仔の造血性内皮細胞から造血幹細胞への試験管内分化誘導系の構築.
発表者;鶴田 真理子氏
(熊本大学 発生医学研究所 組織幹細胞分野)
要旨;
マウス胎生期における造血幹細胞の発生機構は未だ解明されていない。多能性幹細胞から造血幹細胞を誘導するためには、特に不明な初期段階の発生過程を解明する必要がある。我々は、胎生10日目(E10)以降の造血前駆細胞を無血清培地にサイトカインを添加し、内皮細胞株と共培養することで造血幹細胞を誘導することに成功している。しかし、E9以前の胎仔細胞からは誘導に成功していない。本研究は、E9の造血幹細胞に分化する初期の前駆細胞をHEC(Hemogenic endothelial cells)と定義し、HECを特徴づける遺伝子の同定と、造血幹細胞への分化に関係する因子を特定することを目的とした。これまで我々は、マウスES細胞を用いた系によりBone morphogenic protein 4 (BMP4) がHECや造血前駆細胞の増殖や分化を促進することを報告している。本研究では、実際のE9胎仔のHECから造血幹細胞への発生におけるBMP4の影響を検証した。最近の我々の研究から、造血幹細胞の発生には、赤血球・マクロファージ・顆粒球からなる多分化能性コロニーの形成が伴う可能性が分かった。したがって、本研究では血球コロニーアッセイにより生じる多分化能性コロニーを指標としたBMP4の濃度や添加時間の絞り込みを行い、その後、移植実験により造血幹細胞への分化を評価した。E9の胎仔からHECを含む内皮細胞をBMP4存在下で培養し、放射線照射マウスへ移植することで、効率は低いが長期骨髄再構築能をもつ造血幹細胞の誘導に成功した。本研究により、BMP4がHECの分化を促進することで、造血幹細胞の発生初期を支持することが示唆された。本研究結果は、今後、多能性幹細胞由来のHECから造血幹細胞を誘導する試験管内分化誘導系の構築に寄与すると考えられる。

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