Gene Technology Center

202106Shitashimizu

研究発表を行った学会;第68回日本実験動物学会総会
2021年5月19-21日 (オンライン)
タイトル; 20年間凍結保存した遺伝子改変マウスの二細胞期胚を用いた産子の作製.
発表者;下清水 綾菜氏
(熊本大学 生命資源研究・支援センター 資源開発分野)
要旨;
【目的】熊本大学生命資源研究・支援センター動物資源開発研究施設(CARD)は、遺伝子改変マウスの収集、保存、供給を行うマウスバンクとして1998年に設置された。マウスバンクに保管されている遺伝子改変マウスの胚の中には、20年以上液体窒素タンク中で保存されている胚も含まれている。これまでに私達は、第56回本総会にて10年間凍結保存した遺伝子改変マウス胚の生存性について報告し、凍結胚から産子が得られることを確認している。そこで本研究では、20年以上凍結保存された遺伝子改変マウス胚の融解後の生存性と産子への発生率及び導入遺伝子を有する産子の割合を評価し、長期保存がマウス胚の品質に及ぼす影響を検討した。
【方法】C57BL / 6とBALB / cをバックグラウンドとする10系統の遺伝子改変マウスについて、1999年に凍結保存された二細胞期胚を使用した。二細胞期胚の凍結保存は、簡易ガラス化法を使用した。凍結保存した胚を加温し、偽妊娠マウスの卵管内に移植し、得られた産子について導入遺伝子の有無をPCRで確認した。同系統の遺伝子改変マウスの凍結胚を2年半以内に加温・移植した区(短期保存区)、10年経過後に加温・移植した区(10年間保存区)、20年経過後に加温・移植した区(20年間保存区)について、加温後の形態的正常胚の割合、産子への発生率、導入遺伝子を有する産子の割合を比較した。
【結果及び考察】20年間保存区における融解後の形態的正常胚の割合、産子への発生率及び導入遺伝子を有する産子への割合は、77.6%〜92.5%、18.0%〜66.7%、28.6%〜77.8%であった。短期保存区におけるそれらの値は、81.6%〜100.0%、25.8%〜48.6%、41.7%〜73.3%、10年間保存区におけるそれらの値は、72.7%〜94.3%、22.2%〜57.6%、38.9%〜87.5%であった。以上の結果から、20年間凍結保存した遺伝子改変マウスの二細胞期胚から、導入遺伝子を有する産子を作製できることが示された。

アクティブボード

PAGETOP
Copyright © GTC All Rights Reserved.
Powered by WordPress & BizVektor Theme by Vektor,Inc. technology.