Gene Technology Center

202008Kitamoto

研究発表を行った学会;2019年度先端モデル動物支援プラットフォーム成果発表会
2020年2月4日〜5日(琵琶湖ホテル)
タイトル; 潜性(劣性)遺伝形式で多血症の症状を示す自然発生突然変異マウス『pocy』の解析.
発表者;北元 優梨氏
(熊本大学 生命資源研究・支援センター ゲノム機能分野)
要旨;
我々は、『可変型遺伝子トラップ法』を開発し、データベース『EGTC (Exchangeable Gene Trap Clones)』を全世界に公開している。EGTCクローンの中のAyu21-W267というトラップマウスの解析中に、トラップベクターの有無とは関係なく、脚や耳の中が赤いマウスが出現した。血液検査の結果、このマウスは血中の赤血球が異常に増加する多血症を発症していることが分かった。我々はこの自然発生突然変異マウスをpocy (Familial Polycythemia)と名付けた。家族性多血症は多くが顕性(優性)遺伝であるが、pocyにおける多血症は潜性(劣性)遺伝形式を示し、これまで知られていなかった新たな多血症である可能性が高い。本研究の目的は、pocyの表現型を詳細に解析し、またpocyの責任遺伝子を同定し、新たな多血症の原因を解明することである。
昨年の本発表会において、pocyの表現型とその責任遺伝子の探索結果について紹介した。今回は、ゲノム編集技術を用いて絞り込んだ候補遺伝子の変異をC57BL/6Nマウスに導入した結果について報告する。
エクソーム解析により検出した遺伝子Xのpoint mutationをゲノム編集技術によってC57BL/6Nマウスに導入した。ヘテロ接合体には異常はなく、ホモ接合体はメンデル則に従って生まれ、出生直後には特に異常は見られなかった。しかしながら、成長するに従って、pocyと同様に脚や耳の中に赤みが見られた。また血液学検査の結果、血液中の赤血球の異常な増加が見られ、脾臓の肥大も確認された。ゲノム編集の過程で得られたknock outマウスの解析も並行で行なっている。

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