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201908Satou

研究発表を行った学会;Research Planet 2019
2019年 7月20日〜21日(熊本)
タイトル; 内因性HMGB2の欠損はマウス圧負荷誘導性心不全モデル
における心不全を増悪させる.

発表者;佐藤 迪夫氏
(熊本大学 大学院生命科学研究部 分子遺伝学)
要旨;
 転写制御やクロマチン構造の維持作用をもつHMGB2は、近年ラット新生児心筋初代培養細胞を用いたノックダウン実験により心筋肥大、ANPの発現上昇、SERCAの発現低下を認め、心不全の特徴を示す結果が報告された。しかし、心不全病態における生体でのHMGB2の関与は明らかになっていない。
 心不全病態におけるHMGB2の発現検討を行うため、野生型マウス(WT)に圧負荷誘導心不全モデル(TAC)を作製し、心臓組織のHMGB2タンパク量の評価を行ったところ、術後2週よりHMGB2の明らかな上昇を認めた。次にHmgb2遺伝子欠損マウス(Hmgb2 KO)を用いて心臓における表現型を検討したところ、Hmgb2 KOマウスはWTに比べ左室径の拡大、心収縮の低下、心筋細胞の肥大、心不全マーカーの上昇することを確認した。さらにTACモデルを作製したところHmgb2 KOマウスはWTに比べ、心不全の著明な増悪を認めた。また、ランゲンドルフ法によるHmgb2 KOマウスの単離心筋細胞は有意な収縮力低下を認め、心臓組織のAKT活性低下およびSERCA2タンパク量の低下を認めた。
 以上より、内因性HMGB2の欠損はAKT- SERCA2a 経路を介して心機能低下および圧負荷誘導性心不全モデルにおける心不全の増悪を認め、心臓におけるHMGB2は心保護的作用を果たす可能性が示唆された。

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