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202001,Yoshioka

研究発表を行った学会;第42回日本分子生物学会年会
2019年 12月 3日〜 6日(福岡市)
タイトル; ホメオティック遺伝子に着目した身体部位特異的な筋再生能制御の違い.
発表者;吉岡 潔志氏
(熊本大学 発生医学研究所 筋発生再生分野)
要旨;
骨格筋は全身に分布しているが、身体部位ごとに発生起源が異なることが知られている。しかし、成体における筋特性の身体部位による違いは不明な点が多い。本研究では、がん悪液質、加齢、睾丸摘出、筋損傷のモデルマウスにおいて、頭部筋と四肢筋の各種筋応答がそれぞれ身体部位ごとに特徴的に異なることを見出した。筋再生能の違いに着目し、骨格筋の組織幹細胞であるサテライト細胞の遺伝子発現を比較したところ、四肢筋由来サテライト細胞で発現しているHoxa10は頭部筋由来細胞では発現していないことがわかった。サテライト細胞特異的にHoxa10遺伝子を欠損させるため、Pax7CreERT2;Hoxa10f/fマウスを作出した。Hoxa10欠損により、下肢筋由来のサテライト細胞の増殖は低下したが、頭部筋由来細胞には影響はなかった。また、Hoxa10を欠損した下肢筋由来サテライト細胞では、染色体の複製・分裂異常の指標となる小核の形成が増加した。これらの結果は、ヒトの下肢筋由来サテライト細胞を用いたsiRNA によるHOXA10ノックダウンにおいても再現された。Pax7CreERT2;Hoxa10f/fマウスに全身の骨格筋の損傷・再生を繰り返すmdxマウスをかけ合わせたところ、作出したマウスの頭部筋には影響がなく、四肢筋では顕著に筋再生不全を呈した。以上のことから、Hoxa10は身体部位による筋再性制御の違いを生む一因となっている可能性がある。本研究では、成熟した骨格筋組織に存在するサテライト細胞が、発生起源ごとのアイデンティティーを保ち、異なる分子制御を受けていることを示唆する結果が得られた。

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