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202207Yamashita

研究発表を行った学会;第69回日本実験動物学会総会
2022年 5月 18-20日(仙台国際センター)
タイトル; 簡易ガラス化法により凍結保存したマウス二細胞期胚の-80℃保存における発生能.
発表者;山下 紀代子氏
(熊本大学 生命資源研究・支援センター 資源開発分野)
要旨;
【背景】マウス凍結精子や胚の輸送では、-150℃以下の超低温を維持できるドライシッパーが使用されている。近年、ドライシッパーの不適切な使用により、輸送業者から輸送を拒否されるケースが生じている。凍結胚を輸送する代替手段として、ドライアイス(-79℃)が使用できる可能性がある。しかしながら、簡易ガラス化法で作製した凍結二細胞期胚では、ドライアイスにおいて保管できる期間や保管後の生存率および発生率は明らかになっていない。そこで本研究では、簡易ガラス化法により作製した二細胞期胚を用いて、ディープフリーザー(-80℃)中で短期間保存した後に、凍結胚の加温後の生存率、体外培養後の胚盤胞への発生率、胚移植後の産子への発生率を評価した。
【方法】C57BL/6J雌および雄マウスから採取した卵子および精子を用いて体外受精を行い二細胞期胚を作製した後に、簡易ガラス化法で凍結胚を作製した。凍結胚は、液体窒素(LN2)で保管した胚(対照区)とLN2から取り出しディープフリーザー(-80℃)の中で1、2、3、4日間保存した胚を準備した。定法に従って凍結胚を加温し、形態的に正常な二細胞期胚の割合(生存率)を評価した。次に、凍結/加温した胚は、体外培養による胚盤胞への発生率、胚移植による産子への発生率の評価に使用した。
【結果および考察】加温後の生存率は、LN2保存(対照区)92.8%、1日保存93.8%、2日保存92.5%、3日保存72.4%、4日保存38.4%であった。胚盤胞への発生率は、LN2保存(対照区)93.8%、1日保存95.2%、2日保存97.6%、3日保存98.4%、4日保存65.4%であり、胚移植後の産子への発生率はLN2保存(対照区)42.0%、1日保存45.0%、2日保存32.0%、3日保存40.0%、4日保存37.5%であった。以上の結果から、簡易ガラス化法で作製した凍結胚は、3日目以降に生存率が低下し、胚盤胞への発生率は4日目に低下することが示された。本知見は、簡易ガラス化法で作製した二細胞期胚の輸送では、ドライアイスを使用できる可能性があるが、保存期間を三日以内にすることが望ましいと考えられる。

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