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202211Koga

研究発表を行った学会;第15回エピジェネティクス研究会年会
2022年6月9-10日 (福岡)
タイトル; M2型マクロファージの極性化に関わるエピゲノム制御機構の解明.
発表者;古賀 友紹氏
(熊本大学 発生医学研究所 細胞医学分野)
要旨;
マクロファージは、外来異物を貪食し、炎症性サイトカインを産生するなど、細菌やウイルス、寄生虫などを排除する重要な自然免疫細胞である。マクロファージは外部環境刺激によって、炎症促進型のM1マクロファージや炎症抑制型のM2マクロファージに極性化し、多様な機能を発揮する。さらにマクロファージは、組織線維化や癌進展、創傷治癒などの病態と深く関わるため、その極性化制御機構を理解することは、多様な炎症病態を理解する上で非常に重要な課題である。
本研究では、マクロファージ極性化の分子機構を明らかにする目的で、エピゲノム修飾因子に着目した。発現スクリーニングの結果、M2マクロファージ極性化抑制因子として、ヒストン脱メチル化酵素lysine specific demethylase 7A (KDM7A)を同定した。KDM7Aノックアウト細胞を用いた解析から、KDM7AはM2極性化依存的なアルギニン代謝変動を抑制していることがわかった。また、KDM7Aノックアウトマウスを用いた解析から、M2マクロファージ依存的に引き起こされる肺線維症がKDM7A欠損により増悪化することも見出した。さらに、突発性肺線維症の患者由来マクロファージでは、KDM7Aが発現減少していることも明らかにした。本研究は、マクロファージの極性化に関するエピゲノム制御機構の一端を明らかにした重要な知見である。

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