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202301ArakiKimi

研究発表を行った学会;第45回日本分子生物学会年会
2022年11月30日〜12月2日 (幕張メッセ)
タイトル; 成⻑ホルモン分泌不全症Ⅱ型(IGHD2)モデルマウスの作製と病態解析.
発表者;荒木 喜美氏
(熊本大学 生命資源研究・支援センター 疾患モデル分野)
要旨;成⻑ホルモン単独⽋損症Ⅱ型 (Isolated Growth Hormone Deficiency Type 2, IGHD2) は,脳下垂体前葉から分泌される成⻑ホルモン (GH) をコードするGH1遺伝⼦のヘテロ接合性intron 3スプライスサイト変異で引き起こされ,変異アリルからexon 3をインフレームに⽋く変異型GH (Δ3GH) が産⽣される.GH1⽚アリルの⽋失を有する患者の成⼈⾝⻑は正常であり,⾎液中の野⽣型GH濃度を正常に保つには野⽣型GH1遺伝⼦1アリルで⼗分であることがわかっている.しかし,顕性遺伝形式をとる本疾患では,野⽣型アリルが1つ存在するにも関わらず,⾎液中GH濃度が低下し,患者は低⾝⻑となる.以上のことから,変異型アリルから産⽣されるΔ3GHが野⽣型アリルに優性阻害効果を及ぼすことが提唱されているが,その詳細な分⼦⽣物学的機序は不明である.我々は,IGHD2におけるΔ3GHの優性阻害効果の詳細を解明するため,マウスGh遺伝⼦のexon 3をゲノム編集により⽋損させたアリル (GhΔ3) を持つモデルマウスを作製した.各genotype (Gh+/+, Gh+/Δ3,GhΔ3/Δ3)において,体重‧体⻑を測定したところ,Gh+/Δ3においてはGhΔ3/Δ3とほぼ同程度の重篤な成⻑障害を認めた. Gh+/Δ3マウスでは野⽣型Gh mRNA量が1/10程度まで減少しておいたことから,IGHD2におけるGH分泌不全はGh mRNAの低下に起因することが分かった.興味深いことに,発現解析の結果,視床下部からの成⻑ホルモン放出ホルモン (GHRH) の刺激を伝えるために必要な,下垂体GH産⽣細胞膜上に発現するGHRH受容体 (GHRHR) の発現が低下していたことから,Gh+/Δ3における成⻑障害の本態はフィードバック機構の破綻であることが⽰唆された.さらに,電⼦顕微鏡による解析から粗⾯⼩胞体(rough ER) の肥厚及び分泌顆粒の分布異常を認め,⼩胞体ストレスの関与も推察された.

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