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202309Hina

研究発表を行った学会;日本遺伝学会第95回大会
2023年 9月 6日〜 8日(熊本市)、
タイトル; 精巣上体で発現する複数のPate ファミリー遺伝子が精子成熟のために協調して機能する.
発表者;篠原 日菜氏
(熊本大学 生命資源研究・支援センター 疾患モデル分野)
要旨;
精巣精子は、精巣の隣に存在する管組織“ 精巣上体” を移行中に、精子タンパク質が翻訳後修飾などを受けて受精能力を獲得する(精子成熟)。精子膜タンパク質ADAM3 は、精子成熟でプロセシングを受けて成熟型へと変化するタンパク質で、精子が子宮から卵管へと移行するために必須な因子である。我々は、マウス9 番染色体に存在するPate ファミリー遺伝子(Pate5-13)をコードする領域を欠損(KO)させると、精子から成熟型ADAM3 が消失して精子が卵管へと移行できないため、KO 雄マウスはほぼ不妊になることを報告した。本研究では、この領域内のどの遺伝子が雄妊孕性に必要かを明らかにすることを目的とした。具体的には、Pate ファミリー遺伝子がコードされる領域を約半分ずつ(前後半)欠損させるように設計したgRNA とCas9 酵素を受精卵やES 細胞に導入して変異マウス(F0 世代)を作出した。F1 ヘテロマウス同士の交配により得られたF2 世代以降で表現型解析を行ったところ、精巣上体で強発現するPate ファミリー遺伝子を多く含む前半領域KO 雄マウスで妊孕性が低下した。さらに、この前半領域KO マウスにおいて残存する精巣上体で強発現するPate ファミリー遺伝子を追加でKO したところ、雄マウスの妊孕性はさらに低下した。その原因は、成熟型ADAM3 がほぼ消失して、KO 精子が卵管へと移行できないためだった。以上から、精巣上体で発現する複数のPateファミリー遺伝子が精子成熟に協調して機能する。

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